「先生!また急患です!!」


慌しい声が響く
都内某所 救急病院
今月に入って運び込まれる患者が後を絶たない


くそっ・・・どうしてこんなことに!!


日野 響 医師

彼の疲労はもはやピークを超えている・・・


「先生・・・お願いします!」

わかった

日野は患者を見てうんざりしたような顔を見せる・・・

またこの症状か・・


DQパンデミック
とでも呼ぶのだろうか・・・

何故水際で食い止められなかった!?

国内に解き放たれたウィルスは勢力を強めながら瞬く間に広がった

パンデミック・・・

日野が呟いた。


そもそも、今回は毒性が低くあまり危険視されていなかったんじゃなかったのか?
どうしてこんなになるまで・・・・


「先生!大変です!!、もうDSiがありません!!!」

くそっ! なんだってこんなときに!
DS Liteで間に合わせろ!最悪の場合はDSでもかまわない!とにかく急げ!!


毒性が低い??とんでもない!!
何故セーブが一つしか出来ないという特性を見抜けなかったんだ!!
一つしかないなら、プレイする人数分が必要になるだろ・・・・

前評判が悪かった?
DQウィルスに前評判なんて関係ないのは過去の実績から見ても明らかだ・・・
しかもいくら前評判が悪くても、実際は良作だなんてことは予見できただろう!



・・・・
・・・
・・



突然、眩暈がした・・・












「せ・・・・先生!?」


せんし・・・ぶどうか・・・まほうつかい・・・そうry


「先生!先生!! しっかりしてください!!!」


うるさい!これから魔法戦士のクエストをクリアするんだ!!!


「・・・そんな・・先生まで・・・」


現場で戦ってきた日野に、ついに病魔の魔の手が襲い掛かったのだ


「院内・・・・感染・・・?」

看護士の呟きが聴こえた

隣で同僚が新色のDSiレッドを開いている


もはや手遅れだった・・・





今宵も、マルチプレイの宴が始まる


ドラクエパンデミック

悪評も口コミも巻き込み、全てを飲み込み
人々を騒乱と混沌の世界へ陥れるモノは
世界最小のウィルスだった・・・